文●浅野 幸延(あさのゆきのぶ)/エムズコミュニケーション株式会社 代表取締役
自社と無関係のお客様を集めても意味はない!

ターゲットを定める 自社と無関係のお客様を集めても意味はない!

小規模ビルダー様がホームページで求めるべきものは、アクセスの数ではなく質。

現在では、ほとんどの工務店が自社のホームページをお持ちだと思います。『あの工務店もホームページを持っている。うちも乗り遅れないようにホームページを準備しよう』と。

しかし、そう思ってホームペ ージを作成してみたものの 「反応がない」「たまに来る問合せも冷やかしばかりだ」など、こんなふうに思ってホームページから集客することを諦めている方が大半なのです。

訪問者が魅力的に感じるホームページ
ホームページは無人のショールームです。マイホームを夢見る人をホームページに集めるだけであれば、実は「カンタン」 なことなのです。

しかし、工務店のビジネスでは、契約するまでにお客さまとどこかで一度は直接お会いしなければなりません。 だから、 訪問者にとって最初の接点であるホームページが魅力的であることがとても大事なのです。
魅力的なホームページで見学会や勉強会などの案内をすると、反応は簡単にとれます。言い換えれば、魅力的なホームペー ジとは 「訪問した方が行動を起こそうとする」 ホームページのことなのです。

業者任せのホームページに魅力はない
私がコンサルティングをしていて、はじめにアドバイスするのは、

    1. 集めなければいけないお客様が誰なのか?
    2. 集めたあと、お客様にどんな行動をさせたいのか?

たったこれだけです。
文章で書くと分かりにくいかもしれませんが、このポイントは会社の規模や業務内容は関係ありません。また、このポイントを抑えたうえで、あなたにとってきてほしいお客様に来ていただくホームページづくりをすることは、他の集客方法にくらべると、コストもさしてかかりません。やろうと思えばだれでもできるのです。

工務店のホームページをネットサーフィンしていると、似通ったホームページが非常に多いことに気づきます。 ホームペー ジ業者が同じで、丸投げなのかもしれません。ほとんどの場合このようなホームページでは反応が上がりません。

小さなビルダー様の場合、経営者が語っていないホームページでは、訪れたお客様は違和感を覚え、見透かしてしまいます。ホームページを活用できない人の多くは、「とりあえずホームページを作った」というケースがほとんどではないでしょうか?

そんな「とりあえず」 のホームページに魅力を感じる人はほとんどいません。
インターネット集客は家づくりに似ています。既存の家を解体し、基礎工事を行ない、 上棟する。この順番を入れ替えることは出来ませんよね。段取りを考え工期を短縮することは出来ても、順番を変えることが出来ないのは集客も同じなのです。

ネット集客は濃いユーザーが集まる
まず、お客様がホームページ を利用するときの行動を整理してみましょう。


ホームページに訪れるお客様の多くはヤフーやグーグルなど検索エンジンから訪れます。 上の図を見てください。いま 「注文住宅」で検索している人がいます。

「注文住宅」というキーワードでは検索結果が膨大になってしまうので、さらにこのお客様は自身に必要な絞り込みをかけます。このケースでは注文住宅で検索したお客様が、さらに地域名で絞りこんでいます。あなたがその地域で注文住宅を手掛けている工務店なら喉から手が出るほど来てほしいお客様ですよね。

お客様は自分の意思で絞り込みをかけて訪れる
つまり、こんな濃いお客様がインターネット集客の大きな特徴の一つなのです。
しかしほとんどの工務店が、 「どのようなお客様が自社にとって濃いお客様なのか」を理解していません。どんなに集客しても関連性の薄いお客様を集めていては受注に結び付かないのです。総檜造りの本格和風住宅を手掛けている工務店に、防火地域で鉄骨やRCでマイホームを検討している方が訪れてもうれしくないですよね。
ですから、濃いお客様を集めるためには、どのようなお客様があなたにとって濃いお客様なのか理解する必要があります。それにはまず「自社のこと」をよく知っていることがカギとなます。

集客上手は「自分のこと」 をよく知っている
今まで新築やリフォームを依頼したお客様は、なぜあなたに依頼したのでしょうか? 明確な答えを言える方は濃いお客様を集めることができているはずです。わたしがこの質問をして一番多く返ってくる答えが、「安いから」。その次が「よく分からない」です。
もし、本当に安いことが依頼された理由であれば、ホームペ ージで安さだけを説明すれば魅力的なホームページになるはずですが 「では、安さを前面に押し出すホームページを作りましょう」と言うと「実は一番安いわけではないんだけど」と言われるのです。

ここがポイントなのです。
実は工事を依頼された理由がよくわからないというのが本当のところなのです。
しかし、お客様からすれば、もっとも高価な買い物をするわけですから、理由なくあなたに依頼するはずはありません。あなたが気づいていないだけで、もっと違うところにあなたの会社の魅力をお客様は感じていたのではないでしょうか? なぜあなたに住まいづくりを託してくれたのか、ぜひこの機会に考えてみてください。そして上のメモに書き出してください。 頭の中で分かっていると思わないで書き出してくださいね。 あなたにとって濃いお客様を集めるために必要な作業です。

お客様を選ぶことが 濃いお客様を集めるコツ
さて、ここでちょっと頭の体操です。色のついていない信号機があります。どこが何色か答えられますか? 「そんなこと分かるよ」とおっしゃるかもしれ ません。私もそう思っていましだが、間違えてしまいました。

頭の中で分かっていると思っても、実際には出来ないことって誰にでもよくあることなのです。つまり、依頼された本当の理由を紙に書き出し確信できれば、あなたの魅力に自分自身が気付くのです。 何度も繰り返しますが、関連性の薄いお客様を集めてもしょうがないのです。 自分自身の魅力を理解することが成約率を上げる第一歩です。
そうは言ってもなかなか書き出せないかもしれませんので、私が今までにコンサルティング の際に聞き出した「依頼された理由」を書き出してみましょう。
【お客様が依頼した理由】

  • 面倒見がよいと言われたことがあるこの人なら任せてもいいと思 ったから
  • 素敵な家を建てているから
  • 実績が豊富だから
  • 紹介されたから

「そんなことならオレも言われたことがあるよ」と思われたかもしれません。
それはそのはず。お客様が依頼した理由の多くは、「この人に任せても大丈夫だろう」と思ったからなのです。
つまり「この人なら大丈夫だろう」と思ってもらえるホームページがあなたにとって濃いお客様が集まるホームページということになります。


しかし、これだけでは無筋の基礎コンクリートと同じです。 お客様に「依頼された理由」 に加えて、必ず住まいに対するあなたの「こだわり」も書き出してください。 小さなことでもかまいません。
「檜の家しか作らない」 「○○ 地域以外は工事をしない」 こ のようなこだわりがあれば全て書き出してください。頭の中で考えるだけではだめですよ。 「分かっている」と「活用で 「きる」は違うのですから。 次回は、今回メモに書きだし 「依頼された理由」と「自社のこだわり」を元に、あなたのホームページに訪れる濃いお客様を実際に調べる方法を解説します。

キーワード選定は自社の「こだわり」から考える

ホームページを訪れる人を、濃いお客様とそうでないお客様に選別するには、検索キーワードの選び方が重要です。 書き出した自社の「こだわり」から最適なキーワードを見つけてください。

一人で何役もこなす小さなビルダー様は多忙ですよね。しかも天候や現場の状況で予定外の仕事が増え、さらに忙しさに輪をかける。そんな忙しい合間を縫って見込み客を集めなければいけないのですから、工事を依頼してくれそうにない方まで相手にしていては、寝る時間もな くなってしまいます。

モノづくりが好きだからこ 陥る落とし穴
「家づくりが三度の飯より好き」。ビルダー様の中には、人が出来ないということや、より複雑なことをやり遂げることに達成感を感じる方が多いのではないでしょうか。
難しいことにチャレンジするのは素晴らしいことですが、見込み客様を集めることに関していうと、シンプルに考えたほうが上手く行きます。

住まいづくりを検討している人であっても、あなたに関心がないかぎり受注には結びつきません。逆に、あなたに関心があって、ホームページも隅々まで見ている方であれば、実際に会えば、すでに面識があったかのように商談がスムーズに進みます。
つまり、集客場面でのシンプルな考え方とは、あなたに関心のないお客様を向けさせる努力よりも、もともとあなたに関心を持つお客様を集めることに力を注いだほうがよいということです。それにもっとも適した手段がホームページなのです。

あなたに関心のあるお客様を集めるには
ホームページに訪れるお客様は能動的とお話ししました。自分に合った情報を得るために、絞り込みをかけてヤフーやグーグルなどの検索エンジンで検索します。たとえば「注文住宅」で検索したユー ザーが、もっと自分にあった情報を探そうとすれば、検索キーワードを「注文住宅 東京」と絞り込みます。 そして、 さらに 「注文住宅 木造 東京」と絞り込みをかけていきます。このようにさまざまな単語を組み合わせ、手間をかけてあなたの会社にたどりついてくれるわけですから、その時点で濃いお客様ということが言えます。

あなたを表す検索キーワ ードを選定する
さて「検索キーワード」とは、 お客様がヤフーやグーグルなどの検索エンジンで、調べ物をするときに入力する単語のことで す。その検索キーワードをホー ムページの中にうまく埋め込んでやると、お客様の検索結果に上位表示されてホームページに訪れやすくなる、という仕組みになっています。 埋め込み方などの技術的なことはホームページ制作会社がやりますが、 キーワード選定はビルダー様自身で考えてください。
ここをすべて業者任せにしてしまうと、訪問数アップばかりを狙ったキーワードになりがちで、その結果、アクセスはたくさんあっても仕事に結び付かない、見込みの薄いお客様からの問い合わせが多くて対応に時間がとられるなどの弊害も出てき ます。

繰り返しになりますが、 小規模ビルダー様がホームページで追うべきお客様とは、あなたに関心のある濃いお客様です。
そこで、書き出した 「住まいに対するあなたのこだわり」「お客様が御社に依頼した理由」を元にキーワードを考えるという作業が大切になってきます。

自社のこだわりから考えることが大切

もう少し具体的に説明します。 住まいづくりを検討する方が利用するキーワードは、上図のように大きく分けて「住みたい家」で探す場合と、「工事内容」 で探す場合、そして、「依頼する会社」で探す場合の3つに分類されます。

例えば、「健康住宅」というキーワードで検索したお客様は、家族の健康に悩みがあるのかもしれません。そのような方が訪れたホームページで健康に対する住まいへのこだわりが伝わるホームページであれば自ずと反応が上がるわけです。 逆に健康住宅で検索するユーザーをたくさん集めることができても、ホームページで健康住宅に対する御社のこだわりが伝えられなければ、問い合わせ一つとることはできません。
また、「工事内容」 で探しているお客様は、「新築」や「リフォーム」「注文住宅」「一戸建」「新築」などのキーワードで検案します。 注文住宅で探すお客様の場合、新しい家を自分の考えたプランや仕様で建てたいと考えていると予想出来ます。 あなたの住まいに対するこだわりから、検索キーワードを選定する必要がある理由は、興味のあるお客様を集め、 ホームペ ージで自信を持ってそのこだわりについて語ることによってこそ反応が取れるからです。

しかし、ビルダー様の場合、ここまでで検索キーワードが見つからない方も多いかもしれません。「 注文住宅もやるし、リフォームもやる。住まいに関することならなんでも行う。 お客様の住まいに対する夢をかなえてあげるのが自分の仕事だ」 といった考えの場合、一つの商品や、一つの工事にこだわりを絞りこむのが難しいでしょう。 そこで住まいづくりを考えるお客様の別の検索パターンである「業者で探すキーワード」が重要になります。

「工務店」というキーワー ドに求めるものとは
住まいづくりを考えるお客様の中には、「工務店」「建築士」「住宅メーカー」など業者、業務形態で探す方がいます。 小規模ビルダー様の場合、業者で探す検索キーワードですと工務店という位置づけになるでしょう。工務店というキーワードで依頼先を探すお客様はどのような考えを持ち、「工務店」に何を求めているのでしょうか。 私自身の経験をお話します。 私が工務店で営業を行っているとき、テレビCMで有名なハウスメーカーや地域のパワービルダーと競合することがたびたびありました。そんな中、家を建てる業者は星の数ほどあるのに、「なぜ、私に、私の会社に、 住まいづくりを託してくれたのか?」ということをいつも考えていました。そこで契約後、お客様に、当社にご依頼いただい理由を伺うようになりました。そこで多かったのは、

  • この人、この会社なら任せられると思ったから
  • 近所でも評判がよかったから
  • 他では出来ないと言われたことが可能だったから
  • 何かと近所のほうがいいと思 ったからでした。

いかがですか?
あなたが書き出した、「お客様が御社に依頼した理由」と近くありませんか? 「工務店」という検索キーワ ードで検索する方に、このような 「依頼してくれた理由」 への答えをホームページで伝えられれば、実際の反応も上がってくるのです。

地域名の検索キーワードは必須
小規模ビルダー様の場合、 検索キーワードを選定する際に、忘れてはならない重要なキーワードが地域名になります。
地域名は都道府県もありますし、市町村もあります。前述のこだわりから探し出したキーワードに加え、地域名をキーワードとして設定しておけば、さらに絞り込んだお客様を集めることが可能になります。 後で述べるキーワードアドバイスツールを使うと、工務店+地域名で検索している方がたくさんいることが分かります。

そのキーワードで良いかを検証する
せっかく考えた検索キーワードでも、ヤフーやグーグルなどの検索エンジンでお客様が情報を探すときに実際に使用されていなければ意味がありません。そこで便利なのが、キーワードアドバイスツールです(上参照)。
このキーワードアドバイスツ ールを利用すると、実際に検索の際に使用されるキーワードが一目で確認できます。また、「家」「住まい」「住宅」と一つの単語だけですとどれも同じ意味ですが、 キーワードによっては、「住宅建築」であったり、「家 建てる」 であったり、同じ意味の単語でも検索するお客様が使い分けていることも分かります。
キーワードアドバイスツール を上手に使うことで、あなたが本当に求めているお客様を集めることができるのです。

イメージできると行動を起こす

ビルダー様のホームページでもっとも大切なことは、滞在時間を増やし、リピート率を上げること。そのためのキーワードが「イメージさせる」ことと「あしあと」です。

ここまで自社のこだわりと得意なことから検索キーワー ドを選定することで、濃いお客様を集められることをお話しました。
ビルダー様のような請負型ビジネスの場合、契約までに必ずお客様と会い、打ち合わせを行う必要があります。つまり、ビ ルダー様のホームページの役目は、あなたの会社に興味のある方を集め、「あなたと会ってみたい」「話を聞いてみたい」と思わせることだといえます。 しかしホームページを一度だけ見て、 現場見学会に参加したり、問い合わせをしてくるというのは稀なケースです。 多くの人はそのホームページのリピー ターになってから、何らかのコンタクトを取ろうと考えます。

滞在時間3分、
閲覧3ページを目指す

リピーターを増やすには、 ホ ームページに訪れたユーザーの滞在時間を増やすことが重要になります。目安は3分以上の滞在です。その滞在時間を確保できればリピーターになる可能性が高くなります。また3ページ以上閲覧してもらうというのもひとつの目安になります。この傾向は、グーグルアナリティクスで実際のデータとして確認することが出来ます。
滞在時間を増やすためには、できるだけフレッシュな情報を提供し続けることが必要になってきます。

そんな話をすると、よく「どのような情報を提供すればいいのか」というご相談をいただきます。工事をしている現場の進捗状況や施工例、それにあなたの日常の出来事でも結構です。 ビルダー様にとって当たり前のことでも、これから住まいづくりを考える方にとっては、目新しいと思うことがよくあります。大事なことは、お客様がイメージできる工夫をすること。その工夫によって、一見客がリピーターになり、反応につながっていきます。

お客様にイメージさせる工夫

例えば、現場写真といっても、 管理用の配筋や金物の取り付け状況の写真では、お客様はイメージが湧きません。基礎の写真でしたら、たとえば生コン打設で職人さんが真剣な顔で慣らしている様子、ショールームでの打ち合わせの様子でしたら、キ ッチンやユニットバスだけの写真ではなく、キッチンを前にシ ョールームスタッフの話をお客様が聞いている様子、完成見学会の様子でしたら見学会にたくさんの方が集まっている様子など、ビルダー様にとって目新しいことではなくても、写真の中 に「人」を入れることにより、お客様が「相づち」したり、「へぇー 」と感心したりする内容に変わるのです。 お客様にイメー ジを湧かせるポイントは「人物が写っている写真」です。

イメージできる情報を定期的に更新することがリピーターを育てます。しかし、どんなにイメージできる情報でも、更新頻度が少ないホームページではリピーターは育ちません。 何度も言いますが、家づくりをしようと考えているお客様の場合、ホ ームページを一度だけ見てお問い合わせをしてくるのは稀です。ホームページに何度か訪れたお客様が、ビルダー様の企業姿勢をイメージできてようやく 「問い合わせてみよう」「見学会に参加してみよう」と行動を起こします。
もちろん、文章でイメージし てもらうことも可能ですが、日ごろ文章を書かない方からするとなかなか難しく感じるかもしれません。ですから私は画像を利用することをおすすめしています。

直帰率を減らす

ホームページを訪れた方は、瞬時に自分に役に立つホームペ ージか判断しています。 どんなに役に立つ情報が掲載してあっても、ホームページに訪れた瞬間にそう思ってもらえなければホームページを見るのを止めてしまいます。判断する時間は数秒と言われています。そのような行動を直帰率といいます。
直帰率を減らすためにはトップページの上部のアイキャッチが大事になってきます。

次の囲みAは「工務店」という業者を探すキーワードで集客した際のアイキャッチです。この写真は、トータルハウジング大賞で表彰された際の写真です。工務店というキーワードで訪れたお客様に、「表彰されるような工務店なんだ」とイメージさせる狙いがあります。

Bは「健康住宅」という住みたい家で探すキーワードで集客した際のアイキャッチです。こちらのビルダー様は、なぜ当社に依頼されたかアンケートを行ったところ、社長の健康住宅に対するこだわりに共感したからという意見が多かったので、ホームページの目に留まるところに、動画で社長自らが健康住宅に対するこだわりについて語っ ています。こちらのビルダー様は、このアイキャッチにしてから、商談のペースが格段に早くなりました。 「健康住宅についてこんな考え方をしている社長なんだ」とイメージさせる狙いが成功したからです。

Cは「リフォーム」という工事内容で探すキーワードで集客した際のアイキャッチです。実際にこちらのビルダー様で行ったリフォーム内容とお客様の声を見てもらい、実際に自分がリフォームを行った時をイメージしてもらうのが狙いです。3つのアイキャッチを紹介しましたが、それぞれの例から気づいていただきたいのは、「イメージさせる狙い」は、お客様の立場、目線から生まれるということです。
会社案内のようなホームページでは、反応が取れないのは当たり前と思ってください。 ホームページに訪れたお客様にイメージしてもらうことが、ライバルとの差別化になるのです。 あなたが選定したキーワードで訪れたお客様に、何をイメージして欲しいのか、お客様の立場になって考えてみてください。

あしあとを残してもらう
住まいづくり計画の初期段階ではさまざまな情報を収集します。この段階で直接ビルダー 様にアプローチする方もいらっしゃいますが、一般的には依頼すると決めていない業者に直接会うというのは抵抗があるものです。
とはいえ、ビルダー様のホームページを訪れるお客様は、数多あるホームページから選んでやってきているのです。そのお客様をそのままホームページから離脱させてはもったいない。 お客様をリピーターにするために、次のような「あしあと」を残してもらう仕掛けが必要になってきます。

「工務店」 という業者を探すキーワードで集客しているビルダー様のホームページで、「建築業界の常識と業者の選び方」という内容のメールマガジンを配信しています。お客様がメールアドレスを登録すると5日間、毎日1回メールで学ぶことが出来ます。
資料2をご覧ください。こちらはエコポイントやリフォーム減税など、住宅に関する旬な情報について分かる資料を郵送でプレゼントしています。
どちらも住まいづくりに役立つ情報を収集している初期段階の方にとくに興味のある情報です。

あしあとからブッシュ型 マーケティング
ホームページのお客様に、メールアドレスや住所など、連絡先を「あしあと」として残してもらえれば、濃い見込み客の名簿ができます。ホームページに訪れてもらうだけでは、プル型マーケティング(待ちの営業)ですが、「あしあと」があればお客様にプッシュ型マーケティング(攻めの営業)が行えます。会社にいながら濃い見込み客に現場見学会やイベントなどのアプローチが出来るのは、ホームページ集客だからこそできることです。 飛び込み営業などと違い、すでにあなたの会社に興味のある方々ですし、お客様の都合で、メールマガジンやDMを読むことができるので、プッシュ型のマーケティングを行って苦情やクレームなどは出ません。むしろ、接触頻度が増え、より身近な存在になれるメリットがあります。

ここまでお話したような手法で自社にとって濃いお客様を集めることができても、お客様がイメージできるホームページ になっていないと反応にはつながりません。また、ホームページに訪れる方は、今すぐ客もいますし、これから住まいづくりを計画する方もいます。リピー トしてもらえ、あしあとを残してもらえるホームページ作りを考えてみましょう。

使いやすさを高めたホームページとは

アクセスはあるのに反応がない、というホームページは、お客様が途中で「離脱」してしまっているのでは
対策の一つがユーザビリティです。

こうした離脱の多いホームページのことを、『ユーザビリティが悪い』 ホームページと言います。
この「ユーザビリティ」とは 「使いやすさ」のこと。簡単な操作で読みたい(利用したい) 情報にアクセスできることや、使っていてストレスや戸惑いを感じないことなどが、優れたユーザビリティのホームページとなります。

小さなビルダー様のHPに 最低限必要なコンテンツ
さて、ビルダー様のホームペ ージ内でアクセス数の多いページは、トップページが一番であるのはもちろんですが、「施工例」「プロフィール」「お客様の声」の3つのページは、訪れたお客様のうちビルダー様に興味を持った方が、必ずといっていいほど見るページです。つまり、ビルダー様がホームページ を作るときに、最低限入れなければいけないコンテンツということができます。
3つのページの見る順番は、 検索してきたキーワードによって異なります。たとえば健康住宅など「住みたい家」やリフォ ームなどの「工事内容」で検索してきたお客様は、まず「施工例」に興味を持ち始めます。また、工務店や建築士など「業者」で検索してきたお客様は、プロフィールやお客様の声などから見ています。

写真付きプロフィールで個人の人柄を伝える
ちなみに、ここでいうプロフィールとは、社長様やスタッフの個人的なプロフィールのことです。もちろん会社概要なども必要ですが、地域密着型の小さなビルダー様の場合、会社概要だけではホームページ上でライバルとの差別化をすることは難しいでしょう。 そんな場合に効果的なのが個人的なプロフィールです。
プロフィールには、必ず顔写真を添えることがポイントです。 「人柄が良さそうな人なので、いいかもしれない。会ってみようよ」
複数のビルダー様が実際にお客様からいただいた声です。一回や二回ではありません。 ホームページは、お客様とビルダー様が直接お会いするための懸け橋です。訪れたお客様が、プロフィールの写真を見ただけで、会ってみようと思うのです。もちろん二枚目だからではありません(笑)。

ぜひホームページのプロフィール用に、素敵な笑顔や真剣なまなざしの姿を写した、会ってみたいと思わせるプロフィール写真を用意してください。

反応を取れるホームページ の特徴
反応を取れているホームペー ジには、似た特徴があります。最低限必要なコンテンツである「施工例」「プロフィール」「お客様の声」の3つのページが、ほぼ同じアクセス数になっていることです。つまり、反応の取れるホームページにするためには、訪れたお客様がこの3つのページを必ず見るようにすることだと言うことができます。そのためには、どうすればよいのでしょうか。
さまざまな要因はありますが、ユーザビリティ (使いやすさ)という観点からも、ぜひ知っておいてもらいたいポイントがあります。

図1は、ホームページのユーザビリティに関しての第一人者、ヤコブ・ニールセン博士が、数千に及ぶホームページについて視線追跡調査を実施した結果です。ホームページを見る人はどんな視線の動かし方をしているのでしょうか? 良く見ると文字に見えるはずです。
人がホームページを見るとき、視線は「F」の字を描きます。図1をよく見てください。赤い部分が多く見られている箇所です。
具体的に解説すると、ホームページに訪れた人は、最初の行を読むためにまず目線を水平に移動させます。これが「F」の 上の横の棒です。 次にその下の行を読む。 最初よりも目の動かし方が少ないようです。これが「F」の2番目の横棒。それ以降は、縦に読んで、目線を横には移動していません。これが「F」の縦棒です。

ホームページを作るときの基本的な考え方は、これまでご説明してきたように、まずはアイキャッチで目を留めせ、その後、お客様に見ていただきたい次のページに移動していただくように作ります。それを、ユーザビリティの「F」の観点から考えると、お客様に見ていただきたい施工例やプロフィール、お客様の声のページリンクは、Fの配置のなるべく上部に設置することが、3つのコンテンツにお客様をストレスなく導くための工夫となります。
また、3つのコンテンツ以外にも、お客様は「最新情報」「新着情報」などの言葉に敏感に反応する傾向があります。ですか ら、これもトップページのFの配置の中のなるべく上部にそれを設置します。このように目に留まる部分に「最新情報」や「新着情報」などが置かれてい る場合は、クリック率が上がり、お客様がお気に入りに保存してくれ、リピートしてくれやすく なる、という傾向があります。

お問い合わせフォームに アンケートを設置
ビルダー様のホームページで最低限必要な3つのコンテンツと同じくらい大切なのが「お問い合わせフォーム」です。「お問い合わせフォーム」に気軽に書き込んでいただく第一 のポイントは、名前・メールアドレス以外を「必須」扱いにしないことです。詳しい情報は来社した際や見学会に参加されたときに改めて伺えばいいのです。 一方、チェックマークでカンタンに答えられるアンケート は、お問い合わせをいただけるお客様の多くが答えてくれます。自社のホームページにどのように訪れたか参考にするためにも、ぜひアンケートを設置してみてください。
また、ホームページに掲載する問い合わせ先は、「お問い合わせフォーム」だけでなく、電話やFAXなど、お客様がコンタクトできる方法を出来るだけ複数用意しておくこともポイントです。
お客様の詳しい情報を集めたい場合には、お役立ち情報の資料を差し上げる 「資料請求ページ」にするなどの方法が効果的です。

反応の取れているホームペー ジは、お客様が興味をもちそうなコンテンツや自社が伝えたいコンテンツへ、ユーザビリティ (使いやすさ)を高めて上手に導く工夫がされています。けっして過激な言葉や画像でお問い合わせを強要していません。ユーザーの思うままに行動してもらいながらも、自然に反応の取れるコンテンツに導くことが、ホームページで集客し、実際の反応をとる秘訣なのです。

自社サイトをもっと宣伝しよう

あなたのホームページを効果的に知っていただく工夫をすることで、さらに集客することができます。

ここまでで “あなたの会社の特徴・得意なこと”を使い勝手の良いホームページで表現し、濃いお客様を集めるためのお話をしてきました。業者任せにせず、自分自身で考え、つくり込んだホームページは、24時間365日、会社のために働く、疲れ知らずの優秀な営業マンになります。ここからもうひと工夫することで、さらに見込み客様を集めることができるようになります。

ホームページのアドレスにあるwwwはワールドワイドウェプの略で、直訳すると、「世界中に広がったクモの巣」となります。世界中の人々をハイパーテキスト(リンク)で結びつけているものがインターネットです。
あなたのホームページもそのクモの巣に効果的にアピールすることで、予想もしなかったところから、お客様が現れることが 度々生じてくるようになります。自社のホームページを正しい方法で宣伝すれば、より多くの見込み客様を集めることができるわけですが、ここからは注意が必要です。ここまでにお話ししたことが出来て いるサイトであることが前提となります。 つまり、情報がわかりやすく目的にすんなり到達できる(導ける) サイトというこ とです。

一方、人任せで内容が薄く、つくり込みの出来ていないサイトであったとすれば、いくら宣伝しても訪れたユーザーに興味を持ってもらうことができず、場合によると酷評されるなどの逆効果になることもあります。 多くの労力を費やしたホームページを、たくさんの方に見てもらいたいと考えるのは当然なことです。慎重に、正しい方法で宣伝をしましょう。

ビルダー様にとって有益な宣伝方法を3つお伝えします。

住宅ポータルサイトを有効活用する
リクシルが運営している「いい家ネット」のような工務店紹介サイトには、見込み客様が集まってきます。 工務店検索・施工例検索・見学会検索などを積極的に利用しましょう。「エ務店検索に登録しただけ」という方、多くありませんか? 一度、じっくりご覧になってみてください。有効に活用しているビルダー様は、定期的に更新していますし、文章一つとってもユーザーの立場を考えつくり込んでいます。

私自身調べてみましたら、北海道を例にとると、ビルダー様登録が369件、施工例241 件、見学会16件でした。 北海道ということもあり、 見学会が少ないのはやむをえませんが、施工例を掲載しているビルダー様70社にも満たないのです (平成28年1月8日現在)。 ビルダー登録数に対して、施工例検索や見学会検索の登録の少なさは、いかにビルダー様がウェブでの集客をおろそかにしているか物語っています。 自社ホームページに労力を費やしたのであれば、同様に、ほんの少し労力を費やすことで成果を得ることはできると思います。
「いい家ネット」のように、工務店を紹介しているサイトは無料、有料さまざまですが、たくさんあります。 ビルダー様にとって全ての紹介サイトが役に立つとは言えませんが、まだ手つかずであれば「いい家ネット」で自社を上手に宣伝してみてはいかがでしょうか。

ところで、多くの紹介サイトは文字数限定で、工務店の紹介文を掲載しています。 お客様が工務店検索をすると、同じ地域のライバル会社がいくつも出てきて、まずその紹介文で比較できるようになっています。自社の特徴をどう文章で表現するか悩まれる方も多いのではないでしょうか? うまい宣伝文が書けないとお悩みの読者の方にヒントを差し上げます。そのようなときは、上下のライバル会社紹介文を元に、ライバル会社より興味を引く文章を考える、というのがコツです。プロのコピーライターが書くような誰にでもインパクトを与える文章は無理であっても、検索結果の上下に出てくる工務店の紹介文を参考にしつつ、それを一歩リードする文章を書くのはできるのではないでしょうか?

ブログを利用して宣伝する
ビルダー様がブログを利用するメリットはたくさんありますが、ここでは宣伝する、ということだけ触れたいと思います。 ブログの特徴の一つに、 RSSという機能があります。 RSS登録をしておくと、登録したブログの新着情報を、いちいちそのページにアクセスして確認しなくても自動で知らせてくれ るという機能です。情報収集に熱心な人の多くが利用しています。逆に配信する側、つまりプログを書くビルダー様からすれば、定期的に自分のブログを読 んでもらうことを目的に使用します。ブックマーク(お気入り) だけでは、ブログをいつ更新したかは分かりませんが、 RSS 登録してもらえれば、あなた がブログを更新したことを伝えることができるわけです。

今ではボタン一つで簡単にRSSに登録することができるので、すでにホームページで集客できている方であれば、今後はRSS登録してもらえるような工夫をお勧めします。
ブックマーク登録もRSS登録も、あなたの記事に興味があるから登録するわけです。つま 濃いユーザーといえます。そのようなお客様が何度かリピートすることで、実際の見学会に参加したり、お問い合わせをしたいと思うようになることは、 過去のウェブ改善講座の中でお伝えした通りです。

インターネット広告も考えてみる

PPC広告とはインターネット広告ならではの広告料金課金方式の一つです。
上の画像をご覧ください。上がヤフー検索下がグーグル検 で「注文住宅」というキーワー ドで検索した結果です。赤い囲み部分が広告です。この広告は関連性の高いキーワードで検索した際に自動で表示されます。
この料金は、広告が表示されたからといって課金はされません。 広告をクリックする、つまり必ず自社のサイトに訪れるのが条件で課金される仕組みになっています。しかも1クリ ック当たりの単価設定、一日当たりの広告設定ができ、広告を表示させる地域や時間帯も設定できます。PPC広告を上手に宣伝として使うことで劇的に売上を上げるビジネスもあります。
地域別に広告表示させることもできるため、ピルダー様でも利用しやすい広告と言えますが、ホームページの成約率(ビルダー様ですと、お問い合わせやイベント来場率など)が上がらないと、広告費の無駄になってしまいます。すでにホームページで反応が出ているビルダー様に利用してもらいたい宣伝方式といえます。

会員制型コミュニティーも利用の価値あり

他にもSNS(ソーシャルネ ットワーキングサービス)と呼ばれる会員制型コミュニティー、有名なところではInstagram、X(旧Twitter)やフェイスブックなどがあります。これらは同分野に興味のある人がコミュニティーを作っていますので、関連するコミュニティーに参加することで効果的な宣伝ができるだけでなく、コミュニティーで話題になっていることを知ることができます。 集客や商品などのアイデアを得ることができ、あなた自身がコミュニティーに向け役に立つ情報を提供できるようになれるかもしれません。
ウェブの世界では効果的な宣伝を行うことで、あなたに関心のある、より多くのユーザーを集めることができます。反面、自分の都合しか考えないで宣伝を行うと、逆効果になることもあります。ここまでのお話しした内容をよく理解してから実践していただければ、ホームページは、ビルダー様にとってなくてはならない有能な営業マ ンとなることでしょう。

オフライン宣伝で差をつける

インターネットを使わなくても、あなたのホームページへお客様を導くことができる。
そんなライバルに差をつける手法があります。

ホームページの作り込みができてきたのであれば、住宅ポータルサイトへの登録やブログ、インターネット広告などを利用することで、さらに見込み客様を集めることができるお話をしました。しかしそれは、すべてインターネット上で自社サイトを宣伝する話でした。

ホームページだからと言って、お客様を導くのにインターネットだけと決めつける必要はありません。
さまざまな媒体を複合的に利用することによって相乗効果を生み出し、単体での広告活動りも高い効果を狙う手法を、クロスメディアマーケティングといいます。ビルダー様の場合、地域向けの媒体などで見込み客の注目を集めてから、ホーム ページに誘導すると反応が上がることがよくあります。ビルダー様が利用しやすい媒体には、新聞雑誌広告やチラシ、ダイレクトメールなどの紙媒体、DVD、CDなどのデジタル媒体もありますし、見学会や座談会、セミナーなどのリアル媒体もあります。

さまざまな組み合わせ方法がありますが、ここでは、ホームページに導くことを目的としたクロスメディアマーケティングのうち、ビルダー様が取り組みやすく、実績のあるものをご紹介します。

建築現場を上手に利用する
インターネットで検索してホームページに直接来たお客様は、ホームページに何度かリピートすることで反応につながりますが、建築現場をすでに見ているお客様がホームページを訪れた場合、早い段階で反応が取れることが度々あります。

建築現場は、ビルダー様からすると期間限定の街角展示場です。 建築現場の近隣には、似た環境の方がいらっしゃいますし、少しでも住まいについての不満や悩みをお持ちの方であれば、近所の方が建て替えているのは興味津々なはずです。
しかし、工事期間中に近隣の方からお問い合わせをいただくビルダー様は、あまりいないのではないでしょうか。お客様の立場からすると、この段階でエ事を行うかどうかわかりませんし、工事を行うにしても、依頼するかどうか分からないのに相談したら、しつこい営業をされ、 断れなくなるのではないかなど、身分を名乗ることにリスクがあると考えているためです。建築現場からホームページへのクロスメディアマーケティングで、お客様のリスクを解消してあげましょう。

現場養生シートにURL
すでに多くのビルダー様が、 屋外広告として現場養生シートを利用しているかと思います。

自社のことを知ってもらうために、ホームページアドレスや「○○で検索」と入れることで、リスク意識を取り除くことができます。

魔法のポスト
小さなビルダー様にぜひ行っていただきたいクロスメディアマーケティングがあります。 この手法は私のコンサルティング先のビルダー様に導入してもらい実績を上げています。
具体的には、建築現場の仮囲いのフェンスなどに、上のツール2のようなカタログ入れを設置するという方法です。私たちは、このカタログ入れのことを「魔法のポスト」と呼んでいます。魔法のポストの中に入る資料については、定期的にかわら版などを発行しているのであれば、工事期間中に、最新のかわら版を何度か入れると、直接反応が取れることもあります。かわら版を発行していないビルダ一様は、手作りのチラシでもか まいません。

チラシ→ホームページは 今では自然な流れ

ここでのチラシの目的は、「より詳しく知りたい」と思ってホームページに訪問してもら うことです。
今では、家電、健康食品、衣類、求人など多くのチラシが、ホームページとのクロスメディアマーケティングを行っていますので、お客様にとってチラシからホームページは自然な流れになりつつあります。ビルダー様も、他業種のチラシを参考にしてみるとよいでしょう。

チラシとホームページを運動させる
チラシを見たユーザーがホームページに訪れたとき、一瞬で 「このホームページだ」と分かるようにしておくと、直帰率が下がります。(直帰率とは、ホームページに訪問した人が、入口となった最初の1ページ目だけ を見て、他のページに移動せず に、ブラウザを閉じたり、他のホームページに移動してホームページを退出してしまう割合) これは、前回の講座でお話しリスティング (検索連動型) 広告でも同じことが言えます。チラシから訪れたユーザーは、より詳しい情報を求めてホームページに訪れるとお話しました。詳しい情報とは、たとえば現場見学会であれば、見学会の内容はもちろん、 住まいづくを検討する方であれば、どん人間が建てているのか知りたいものです。ホームページに訪れたユーザーに見ていただきたいページ(ランディングページ)の早い段階で、顔写真入りのあいさつ文を掲載し、ページの最後のほうに、ご来場者特典のようなプレミアムオファーを掲載すると、コンバージョン率 (お問い合わせ・お申し込みの割合) が上がります。

数か月にわたり工事を行うの ですから、「現場」という考え方だけでなく、「期間限定展示場」として積極的に活用してはいかがでしょうか。 施工や建物に自信があるのならなおさらです。

今すぐ行えるクロスメディ アマーケティング
ホームページの作り込みができたピルダー様ならば、ハガキなどのDMからもホームページに誘導するよう工夫してください。 「うちはやっているのに反応がないよ」 という方の多くは、ホームページの作り込みができていないためです。とくに一度見学会に来ていただけたお客様、イベントに来ていただけたお客様などにDMを送り、そこにURLを記載してあると、ホームページを訪問してくれ、電話を直接かけてくださることが度々あります。

次の話は、実際にピルダー様からいただいた声です。
『チラシを見て内見会にいらしたお客様に、翌日、お礼状を送りました。数日たって連絡があり当社に設計と工事を依頼したいとのこと。 再度、お会いして話を聞いてみますと、 ホームページを見て弊社に決めていただいと明確に話してくれました』 右ページ上は、ホームページやブログをマメに更新しているリフォーム専門のビルダー様 で、OB客様にハガキサイズのDMを定期的に送付し、ホームページやブログを見ていただけ るようにしています。
ハガキサイズのDMだけでは、伝えきれないこともありますが、ホームページとクロスマーケティングを行うことで、ハガキとホームページ両方の良さをより引き出しています。

媒体(メディア)は地域によってさまざま
今までご紹介したクロスメディアマーケティングは、ビルダー様の地域に関係なく行えます。 他にも、新聞折込チラシやミニコミ誌にタウン誌などと、ホームページのクロスマーケティングでの成功事例もありますが、ビルダー様の地域によって利用すべき媒体は違います。 家を建てる仕事だからと言って一括りにできないのがビルダ一様のマーケティングです。 住まいと同じくマーケティングも地域によって異なるのが当たり前だと思ってください。インターネットですら、都心部と地方では利用率が違うのです。
他社の成功事例をそのまま真似するのではなく、地域性などを考慮してみてください。 また一回で諦めず一定の期間、テストを行うことも大切です。ビルダー様が、ひとつのマーケティングだけと決めつける必要はありません。 地域性を考慮した独自のマーケティングとホームページの組み合わせで、安定受注を目指してください。

ホームページは「仕掛け」を誘導に

ホームページは濃いお客様を集めることはできますが、それだけで受注することはできません。お客様とお会いできる「仕掛け=イベント」への誘導がその目的なのです。

ここまでで自社にとって濃いお客様を集め、集まったお客様が使いやすく興味を引く内容のホームページを作り、さらに自社サイトをオンライン・オフラインで宜伝する方法をお話しました。ここまでの作業を行ってきたピルダー様であれば、何らかの成果は出ていることと思います。しかし、今までのお話は、今回お話しすることのあくまでも下準備でした。
ホームページは、お客様と繋がるための懸け橋であり、ビル ダー様のビジネスでは、必ずどこかでお客様とお会いする必要があります。つまり、ビルダー 様にとってホームページの一番の目的は、「自社にとって濃いお客様とお会いできるようにすること」なのです。

ホームページの向こう側
お客様からピルダー様に会いたいと思っていただくには、「ホームページの先にある世界」を魅力的に感じてもらう必要があります。
「魅力的に感じること」をもう少し掘り下げると、「悩みを解決できる答えがある(あるいは、ありそうだ)」 ということになります。つまり、お客さまにとってビルダー様に会うことで 「悩みが解決する」と感じられる仕掛けがあるかどうかが、 安定して集客し、受注するためにもっとも重要なことなのです。

どんなに自社にとって濃いお客様を集めても、家づくりのように高額な商品の場合、悩みは多岐にわたります。多岐にわたる悩みを解決してくれる業者にこそ、お客様は頼みたいと思うのです。

お客様の悩みとは?
家づくりを考える方は、どんな悩みを持っているのでしょうか?思いつくことを書き出して みます。

  • 安心して暮らせる家とはどんな家だろうか。
  • 自分に合った住まいとはどんな家だろうか。
  • どんな業者なら安心して頼めるだろうか。
  • 資金計画はどうすればいいのだろうか。

これらの悩みは大まかであり、もっと細分化できます。例えば、安心して暮らせる家であれば、家族の健康のこともありますし、防犯のこともあります。 また、 家づくりの計画をほじめたばかりの方と、ある程度勉強された方であれば、悩みは違います。
また、タイミングによっても悩みは異なります。

あなたなりにぜひ、細分化してみてください。その細分化した悩みが「仕掛けの種」になります。

手軽な仕掛けを数多く

さて、一般的にビルダー様の仕掛けというと、完成見学会を思い浮かべると思います。 集客の仕掛けは完成見学会しか行っていない、というピルダー様も多いのではないでしょうか。
しかし、仕掛けが完成見学会だけだと、そこにすべてのエネルギーを注がなくてはなりません。ある程度の予算取りを行い、チラシを考え、見込み客にDMを送り、会場の準備を行う作業は、小さなビルダー様にとって大変な作業となります。また多忙な中で時間を割き、準備をしても、天候で集客数が左右されることもあります。実際にあった話ですが、見学会直前大地震があり、全く集客できなかった、という話もあります。

また、年間数棟という小さなビルダー様の場合は、仕掛けが完成見学会だけだと、着工棟数の数しかお客に仕掛けられないことになります。しかも、見学会の時期は季節が重なることも多く、年間を通して準備するこができません。

コンサルティングしていると、仕掛けの数と受注数は、ある程度比例していることが分かります。月に1回完成見学会を年間12棟受注していたビルダー様が、月に2回イベントを行うようにしたことで、2棟の受注に成功した例もあります。つまり、安定した受注を確保するためには、年間を通して定期的な仕掛けを準備することがとても重要になります。先のビルダー様の場合、1回のイベントでの集客は10組~30 組程度です。 しかし、そのようなピルダー様が1回のイベントで、100組集めたからといって受注する数が極端に増えるかというと、そうではありません。1回のイベントで10棟、 20棟受注するなどということは、ありえたとしても特殊なケース です。 過去に契約したお客様のことを思い浮かべてみてください。すると、イベントに1回だ参加して契約したというお客様よりも、何回か参加されて契約されたお客様のほうが多くありませんか? 積極的に仕掛け を増やす努力をしましょう。

効果のある仕掛け
効果があるのは「見込み客様の悩みが解決できる仕掛け」です。 最終的に契約していただくためには、住まいづくりに関する全ての悩みを解決しない限り契約していただけないのですから。

コンサルティングを行っているピルダー様で完成見学会以外に行っているイベント(仕掛け)を書き出してみます。

  • 土地活用法勉強会
  • 賢い土地の選び方勉強会
  • 資金計画勉強会
  • プランニング勉強会
  • OB訪問会
  • OBとの座談会
  • 住宅設備体験会
  • 太陽光発電勉強会
  • 地盤補強対策見学会
  • 構造見学会
  • 上棟式体験会など
    さらに、仕掛けにはタイミン グも重要です。よく構造見学会はあまり人が集まらないと言われていますが、それは、構造について学ばなければならない理由が分からないためなのです。 今回のように大地震を目の当たり、また体験した方であれば、「地震に強い住まい」が悩みの一つになっていると予想できます。悩みを感じるタイミン グは、お客様によってまちまちです。 ですから、いつでも、どんな悩みでも解決できるように、さまざまな仕掛けを数多く準備しておくことが重要なのです。
    ビルダー様は、イベントというと大掛かりなイメージを思い浮かべる様ですが、大々的な イベントは時間的にも費用的にも大変なことです。 見込み客様を対象とした悩み解決であれば大掛かりである必要はありませ ん。チラシも必要ありません。 すでに濃い見込み客が集まっている御社の「ホームページ」で 告知すればいいのです。

たとえば「今月のイベント情報」として、いくつかの仕掛けをホームページに掲載できるようにしてみてください、目に見える効果を体感することができます。 さらにイベントの年間スケジュールを知らせられれば、なお効果があります。
イベントは、住まいづくりを考えている方の悩みを解決する内容であれば、2回、3回と繰り返しご参加いただけることが多くなります。すると、成約率も高くなるのです。

レポートを作成する
さまざまな悩みを解決するイベント (仕掛け)を準備していくと、さまざまな資料が出来上がるはずです。この資料は、イベントで使うだけでなく、無料レポートとして、見込み客様に ホームページを使って配布しましょう。

わざわざ製本などする必要は ありません。ダウンロード形式で結構です。 配布する代わりにメールアドレスを登録してもらいます。これによってさらに 濃い見込み客様の名簿が出来上 がります。 レポートを配布した 方々に、メールでイベント案内 をすれば、さらにイベントの集客に繋がります。

濃いお客様をホームページに集めることができたなら、集まったお客様の悩みを解決する掛けを準備することで、お客様が行動を起こすきっかけになります。つまり、ビルダー様がホ ームページを持つ目的は、実際にお会いするための悩みを解 決する仕掛け」に導くことにあ ると言っても過言ではありませ ん。
繰り返しますが、大掛かりにする必要はありません。 仕掛けは、手軽に、数多く準備することが大事なのです。 むしろ、 どれだけ手軽に準備できるかにこだわってみてください。