3.イメージできると行動を起こす
工務店のホームページでもっとも大切なことは、滞在時間を増やし、リピート率を上げること。そのためのキーワードが「イメージさせる」ことと「あしあと」です。
前回までに自社のこだわりと得意なことから検索キーワードを選定することで、濃いお客様を集められることをお話しました。
工務店のような請負型ビジネスの場合、契約までに必ずお客様と会い、打ち合わせを行う必要があります。つまり、工務店のホームページの役目は、あなたの会社に興味のある方を集め、「あなたと会ってみたい」「話を聞いてみたい」と思わせることだといえます。 しかしホームページを一度だけ見て、 現場見学会に参加したり、問い合わせをしてくるというのは稀なケースです。 多くの人はそのホームページのリピーターになってから、何らかのコンタクトを取ろうと考えます。
平均エンゲージメント時間とページビュー数をチェックする
リピーターを増やすには、 ホームページに訪れたユーザーの平均エンゲージメント時間(滞在時間)とページビュー数(閲覧ページ数)を増やすことが重要になります。平均エンゲージメント時間とは、ユーザーがホームページを実際に閲覧、使用していた時間のことです。平均エンゲージメント時間が長いほどホームページをくまなく見ていることになります。
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A社B社
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C社D社
※【参考】Googleアナリティクスとは?
平均エンゲージメント時間を改善していくためにいくつかの施策がありますが、最初に取り組むべきことは、できるだけフレッシュな情報を提供し続けることです。
そんな話をすると、よく「どのような情報を提供すればいいのか」というご相談をいただきます。工事をしている現場の進捗状況や施工例、それにあなたの日常の出来事でも結構です。工務店にとって当たり前のことでも、これから住まいづくりを考える方にとっては、目新しいと思うことがよくあります。大事なことは、お客様がイメージできる工夫をすること。その工夫によって、一見客がリピーターになり反応につながっていきます。
お客様にイメージさせる工夫
例えば、現場写真といっても、 管理用の配筋や金物の取り付け状況の写真では、お客様はイメージが湧きません。基礎の写真でしたら、たとえば生コン打設で職人さんが真剣な顔で均している様子、ショールームでの打ち合わせの様子でしたら、キッチンやユニットバスだけの写真ではなく、キッチンを前にショールームスタッフの話をお客様が聞いている様子、完成見学会の様子でしたら見学会にたくさんの方が集まっている様子など、工務店にとって目新しいことではなくても、写真の中に「人」を入れることにより、お客様が「相づち」したり、「へぇー 」と感心したりする内容に変わるのです。 「人物が写っている写真」は、お客様にイメー ジを湧かせるコンテンツの一つです。
もちろん、文章でイメージしてもらうことも可能ですが、日ごろ文章を書かない方からするとなかなか難しく感じるかもしれません。ですから私は画像を利用することをおすすめしています。
直帰率を減らす
ホームページを訪れた方は、瞬時に自分に役に立つホームページか判断しています。どんなに役に立つ情報が掲載してあっても、ホームページに訪れた瞬間にそう思ってもらえなければホームページを見るのを止めてしまいます。判断する時間は数秒と言われています。ホームページに訪れてもページをスクロールしなかったり、別のページに移動しなかった場合を直帰すると言いますが、Googleアナリティクスのエンゲージメント率で確認することができます。
ユーザーが以下のようなアクションを取るとエンゲージメントとしてカウントされます。
- 10秒を超えてセッションが継続している(10秒以上ホームページに留まる)
- ページビュー、スクリーンビューが2回以上発生(別のページに移動した)
- キーイベントが発生した(ページをスクロールした、ボタンを押した、問い合わせをした等)
このようなアクションを行ってもらい直帰率を減らすためにはトップページの上部のアイキャッチが大事になってきます。
トップページでイメージさせる
トップページの役割は、お客様の興味を引き付け、よいイメージを持たせてたページも読んでもらうこと。そのために大切なのがアイキャッチと呼ばれるメインビジュアルとメインコピーです。自社にあったメインビジュアルにすることが大切ですがここでは3パターンをご紹介します。
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A.表彰・受賞シーンで引き付ける
コンテスト受賞写真は社会的評価に直結します。言葉で説明しなくても、技術力、 デザイン性に優れた「表彰されるような工務店なんだ」とイメージさせることができます。
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B.声、表情、しぐさから伝わる
画像や動画の良い点は、生の声、表情、しぐさから、こだわりにかける思いをストレートに伝えられることです。たとえ話し上手でなくても真剣さをイメージしてもらえれば、 お客様は共感します。
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C.OB客の言葉に自己投影する
OB客様の言葉は、これから家を建てよう、リフォームしようというお客様にとって、もっとも自分に当てはめて考えやすいものです。 イメージが膨らみ、もっと知りたいと思わせます。
会社案内のようなホームページでは、反応が取れないのは当たり前と思ってください。 ホームページに訪れたお客様にイメージしてもらうことが、ライバルとの差別化になるのです。 あなたが選定したキーワードで訪れたお客様に、何をイメージして欲しいのか、お客様の立場になって考えてみてください。
あしあとを残してもらう
住まいづくり計画の初期段階ではさまざまな情報を収集します。この段階で工務店様にアプローチする方もいらっしゃいますが、一般的には依頼すると決めていない業者に直接会うというのは抵抗があるものです。
とはいえ、工務店のホームページを訪れるお客様は、数多あるホームページから選んでやってきているのです。そのお客様をそのままホームページから離脱させてはもったいないことです。 お客様をリピーターにするために、「あしあと」を残してもらう仕掛けを考えましょう。
あしあとからブッシュ型マーケティング
ホームページのお客様に、メールアドレスや住所など、連絡先を「あしあと」として残してもらえれば、濃い見込み客の名簿ができます。ホームページに訪れてもらうだけでは、プル型マーケティング(待ちの営業)ですが、「あしあと」があればお客様にプッシュ型マーケティング(攻めの営業)が行えます。会社にいながら濃い見込み客に現場見学会やイベントなどのアプローチが出来るのは、ホームページ集客だからこそできることです。 飛び込み営業などと違い、すでにあなたの会社に興味のある方々です。プッシュ型のマーケティングを行って苦情やクレームなどは出ません。むしろ、接触頻度が増え、より身近な存在になれるメリットがあります。
ここまでお話したような手法で自社にとって濃いお客様を集めることができても、お客様がイメージできるホームページになっていないと反応にはつながりません。また、ホームページに訪れる方は、今すぐ客もいますし、これから住まいづくりを計画する方もいます。リピー トしてもらえ、あしあとを残してもらえるホームページ作りを考えてみましょう。
この記事の監修 : 浅野 幸延(あさのゆきのぶ)/エムズコミュニケーション株式会社 代表取締役 (建築士/コンサルティング・広告全般担当)プロフィール
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